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売掛債権保証と掛け払い決済代行の違いとは?

公開日: ( 最終更新日:

はじめに

法人取引において、売掛金の回収リスクは避けて通れない課題です。取引先の多様化や新規市場への参入に伴い、慎重なリスク管理が求められています。

近年、リスク管理のソリューションとして「売掛債権保証」と「掛け払い決済代行」が注目されていますが、両サービスは効果と業務フローへの影響が根本的に異なります。
本コラムでは、両サービスの違いを分かりやすく解説します。

売掛債権保証は「取引を維持しながらリスクのみ軽減」

サービス概要

売掛債権保証は、既存の取引関係や業務フローを一切変更せず、売掛金の回収不能リスクのみを保険でカバーするサービスです。「取引先との関係維持を重視したリスクヘッジ」と捉えるのが適切でしょう。

仕組みとプロセス

  1. 保険契約の締結:保険会社と売掛保証契約を結ぶ
  2. 取引先の与信審査:保険対象とする取引先の審査を実施
  3. 通常の取引継続:従来通りの請求・回収業務を実施
  4. 事故発生の申請:取引先の倒産・事故情報を保険会社に申請
  5. 保険金の支払い:取引先の倒産・支払い不能時に保険金を受領

主な特徴

既存関係の維持

  • 取引先との直接的な関係性(支払い方法、支払いサイクル)は全く変わらない
  • 契約関係、請求関係に保険会社の介入は一切ない
  • 長年築いた信頼関係を損なうリスクがない

業務フローの継続

  • 請求書発行は従来通り自社で実施
  • 入金管理や督促業務も自社で継続

倒産リスクの回避

  • 取引先が倒産・支払い不能になった場合のみ保険が適用
  • 支払い遅延やトラブルに起因する支払い拒否などは対象外
  • 保険金は損失額の80~100%をカバー(保険個別契約により異なる)

コスト構造

  • 月額保険料:保険を掛けたい取引額の1~3%程度
  • 初期費用:基本的にかからない

会計計上の方法

売掛保証は経理会計の基本構造を変更しません。

  • 売掛金計上:取引先に対して通常通り計上
  • 保険料処理:販売費及び一般管理費で定期的に計上
  • 保険金受取:雑収入または特別利益として計上
  • 税務上の扱い:保険料は損金算入、保険金は益金算入

掛け払い決済代行は「請求から回収までの決済全体アウトソース」

サービス概要

掛け払い決済代行は、決済代行会社が売主と買主の間に介入し、請求から回収まで決済業務全体を代行するサービスです。「決済業務のアウトソーシング」として機能します。

仕組みとプロセス

  1. 代行会社との契約:決済代行サービスの利用契約を締結
  2. 取引先の登録:代行会社が取引先の与信審査を実施
  3. 決済業務のアウトソース:請求から回収まで全てを代行会社が実施
  4. 確実な代金回収:買主の支払い有無に関わらず代金を受領

主な特徴

決済業務の完全代行

  • 請求書の作成・発行・送付を代行
  • 入金管理や督促業務も代行会社が実施

未回収リスクの完全回避

  • 決済代行会社が買主に対する債権者となる
  • 取引先の支払い有無、遅延有無に関わらず売主への支払いが保証

業務効率化の実現

  • 請求・回収業務から完全に解放
  • 人的リソースを営業活動など他の業務に集中可能

コスト構造

  • 決済手数料:売上高の1~3%程度
  • 初期費用/月額費用:0~数万円(多くの場合は数千円程度)

会計計上の方法

掛け払い決済代行では、会計の方法が大きく変わります。

  • 売掛金の相手先:決済代行会社が債権者となる
  • 決済手数料:売上高から控除または販売費で処理
  • リスク管理:貸し倒れ引当金の設定が不要となる

両サービスの比較:どちらを選ぶべきか

比較表

判断要素売掛債権保証掛け払い決済代行
取引関係既存関係を完全維持代行会社が介入
業務負荷従来業務を継続請求・回収業務から解放
コスト固定の保険料売上連動の手数料
リスク移転倒産・支払不能時のみ全ての回収リスク
キャッシュフロー事故発生後15~180日間程度改善の可能性

売掛債権保証が適している企業・場面

こんな企業におすすめ:

  • 長期的で直接的な取引関係を重視する企業
  • 既存の業務プロセスを維持したい企業
  • 取引先の倒産リスクを回避したい

具体的なケース:

  • 基幹取引先との関係性が事業の根幹
  • 既存の与信管理に保険会社の与信情報を加えたい
  • 相手方の倒産に備えつつ大型取引を実施したい

注意点:

  • 保険設計:取引先の信用度に応じた保険金額・免責額の設定
  • 保険金支払:事故申請・保険金支払条件の複雑さと、支払いまで時間がかかる

掛け払い決済代行が適している企業・場面

こんな企業におすすめ:

  • 業務効率化を積極的に推進したい企業
  • 新規取引先の開拓を重視する企業
  • 人的リソースを営業活動に集中したい企業

具体的なケース:

  • 新規事業や新市場への参入を検討
  • 中小企業との取引拡大を計画
  • 請求・回収業務の人的コストが課題

注意点:

  • 取引先への説明:決済フロー変更に対する取引先の理解獲得
  • 連携設計:既存の会計・販売管理体制との連携設計

まとめ

売掛債権保証と掛け払い決済代行は、どちらも売掛金リスクを軽減する有効なソリューションですが、その性格と効果は大きく異なります。

売掛債権保証は「取引関係を維持しながら、安価にリスクのみを軽減したい」企業に適しており、掛け払い決済代行は「業務効率化と確実な資金回収を通じて、成長戦略を加速させたい」企業に適しています。

この記事を書いた人

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BtoB後払い決済の教科書 濱本

10年以上の経験を持つ決済コンサルタント。
BtoB、BtoC後払い決済からオンライン/実店舗のクレジットカード決済まで対応可能。
上場企業の新規事業における決済導入プロジェクトに数多く携わる。