後払い決済の与信(審査)NG率が高い原因を解説
単品通販×サブスクリプション(定期販売)編
サブスクリプション×高額アフィリエイト報酬の通販サイトは要注意!
後払い決済相談室へのご相談で、最近増加傾向にあるひとつに
「保証型後払いを導入しているのだけれど、与信NGが多いから他の後払い会社に乗り換えたい」
という内容があります。
このようなご相談をいただくクライアントの多くに共通していることがあります。
- 運営している業態がサブスクリプションビジネス(定期販売モデル)
- 取り扱いが美容商品、健康食品系
一般的な通販事業者の場合、保証型後払いの与信NG率は3~5%前後ですが
上記の条件を満たすクライアントの平均与信NG率は7~15%と非常に高くなっています。
この原因を解説します。
与信NG率が高い原因は、アフィリエイターによる不正注文?
例として、女性向けダイエットサプリのサブスクリプションモデルを運営している企業で紹介します。
消費者には月1回5,000円商品配送の4ヵ月契約で商品を提供していて、CVRを高める施策として初回料金500円と格安にします。
サブスクリプションの通販サイトによくあるビジネスモデルです。
4カ月満了で解約になる場合、1ユーザのLTVは単価×3ヶ月+初回料金となります。
4カ月以降も契約を継続してもらえればLTVはどんどん大きくなります。
このビジネスを拡大するために様々なマーケティング活動を行うのですが、そのマーケティング活動の中のひとつ
「アフィリエイトによる拡販」が不正注文を発生させる要因になりうる場合があるのです。
不正アフィリエイターは、こう考える。
消費者に初回500円で購入できる商品を紹介すれば、アフィリエイト報酬で5,000円支払われるプログラムがあったとします。
良識のあるアフィリエイターは、各々の手法で商品を紹介して、商品に興味を持った実在の消費者を通販サイトに誘引します。
本件の問題となる不正アフィリエイターは、こう考えます。
「5,000円の報酬が支払われるのなら、架空の人物で注文しまくればいいじゃん!1000人分の架空注文すれば500万円だ!」
「架空注文するだけでこれだけ儲かるなら、人件費20万円で雇ったやつに作業させれば、480万の利益だ!」
「そういう架空注文するやつを数人集めれば、簡単に大金を稼げるぞ!」
このような利益確保の方法で不正アフィリエイターが活動しています。
更に、不正アフィリエイターによっては商品をしっかり受取り(受取場所は、一定ではない)
ちゃんと初回代金を支払ったのちに、通販事業者に連絡をして解約手続きをする場合もあります。
なぜ、そんなややこしことをするかというと
- 初回代金を支払うことで、その注文アカウントには支払い実績がつき、他商材の後払い決済の注文に転用できる
- 受け取った商品をCtoCマーケットで転売することで、更に利益が増える
というメリットがあるのです。
正直、よくそんなこと思いつくなと感心しますが、残念ながらこういう人たちが実在します。
そしてこういう人たちが不当に利益を得るための注文を行うので、各後払い決済会社の与信ロジックで検知されて与信NG率が高くなっているのです。
後払い会社の与信は不正を適切に見抜けているのか?
後払い決済相談室としては、不正注文は通販事業者の売上になるべきではないと考えています。
従って「適切な与信処理」によって与信NG率が高くなることは悪いことでありません。
不正注文が多いとすれば、問題はなぜ不正注文のターゲットにされてしまうのかという問題の解決が必要です。
とは言っても、実際に通販事業を営んでいる事業者からすれば
「せっかく広告費をかけて獲得した注文なのに、いつも与信NGで失注してしまって悔しい!」
という心情があることも、とても理解できます。
そのような状況だと、
「今利用している後払い会社の与信がおかしい(厳しすぎる)のではないか」
と疑心暗鬼になってしまうのも無理はありません。
もし、そのような状況の方がいたら、ご相談ください。
- 現在利用中の後払い決済の与信処理が、本当に適切になされているのかどうか。
- 後払い決済会社の言い分は、他の後払い会社と相違があるのかどうか。
など、後払い決済のセカンドオピニオンとして我々後払い決済相談室がお役に立ちます。
完全中立の立場で、複数の後払い決済会社と横断的にやり取りしている当社だからこそ持てるノウハウをご提供します。
要注意!焦ってやってはいけないこと!
与信処理の内容精査などを行わずに容易に後払い決済会社を切り替えるのはおすすめしません。
理由は、後払い決済会社を変えることで問題がかえって大きくなる可能性があるからです。
与信のNG率が高いという理由で他の後払い決済会社に容易に切り替えてしまうと思わぬ失敗をすることがあります。
他の後払い決済会社が「当社は与信通せますよー」といって提案に来ても鵜呑みしてはいけません。
もう一段階、商談が進んだとしても注意が必要です。
「NDA締結して、実際の注文データで与信通過率調査してみましょうか?」「調査の結果、OK率95%です!」
この段階でも、注意してください。
サブスクリプションの決済は、基本的に注文契約期間中、継続して与信OKが出続けないと使い勝手が著しく悪いです。
初回注文のときだけ与信を通して、2回目、3回目の定期注文のときに与信NGにされてしまっては何の意味もありません。
利用中の後払い決済で与信NGになっている大多数が本当に不正注文だとしたら、それは(他の後払い決済会社に切り替えたことで)与信OKになる方が問題です。
仮に与信OKになった場合、下記現象のいずれかが発生するからです。
- 住所が架空または、住所と氏名が合致せず、受け取り拒否で返却→配送料だけがかさむ
(受け取っていないので保証対象ともならない) - 不正アフィリエイターの場合、1回目の支払いがあっても必ず途中解約をするので解約処理工数が増加し人件費圧迫、LTVも低いため利益なし
- 後払い会社で代金の回収ができず結果的には加盟店の手数料条件改悪等や、与信条件の厳格化(与信NG率増加)が実施され、最悪の場合、サービス提供不可となる。
後払い決済の与信NGは売上に直接影響するため、非常に重要な問題です。
悠長に捉えていい問題でありませんが、闇雲に対応しても事態は好転しません。
まずは現状をお聞かせください。700社以上のクライアントを支援した専門家がきっとお役に立ちます。