後払い決済手数料は、どう決めればいいのか

2019-10-23

「後払い決済相談室さん、(購入者さまに)ご負担いただく後払い決済手数料はいくらに設定したらよいでしょうか?」
BtoCで後払い決済を導入する場合、導入過程の後半で顧客から高確率で聞かれる質問が上記です。
予めお伝えすると、その質問に唯一の正解はありません。いろいろな状況から答えを導き出していきます。
本コラムでは後払い決済手数料額の設定の考え方について記載をしていきます。
※注:法人間の掛け払い決済手数料は無料が一般的です。本コラムは上記記載の通りBtoCの後払い決済手数料についてです。

■■目次■■

  • 【参考】有名店の後払い決済手数料
  • 手数料額と利用率の目安
  • おススメの決定方法

【参考】有名店の後払い決済手数料

参考として、有名店の後払い決済手数料を手数料別に記載してみました。
※有名店の定義:月刊ネット販売2019年10月号「第19回ネット販売白書」記載の1~50位で後払い決済を導入しているサイト+楽天市場

※2019年10月現在
上記図の(※)はPaidy導入店舗です。月1回利用のみだった場合の最大の費用で記載しています。

1~50位では、意外にも、無料か300円以上に設定している企業が多いですね。
ちなみに無料の中で、自社後払いではなくアウトソースしている先は「ユニクロオンライン」と「ニッセンオンライン」のみです。
後払い決済手数料を有料に設定している店舗はすべてアウトソースしています。

考察

  • 無料の店舗はなぜ無料にできているのか?
  • 有料の店舗はなぜ有料にしているのか?
  • 有料の店舗の中で300円OVERの高額店舗はなぜその金額設定にしているのか?

※これは上記のTOP50社のみの話ではありません。例えば導入を検討している担当者(あなた)が調査した競合店も該当します。

無料の店舗はなぜ無料にできているのか?

無料に設定している店舗は、下記パターンがありそれぞれ理由が異なります。
①後払い決済を自社運用で提供している。
②後払い決済をアウトソースしている。

①後払い決済を自社運用で提供している。

「社内で与信・請求・債権回収のチームがある」為、費用をかけてアウトソースする必要がありません。
後払い決済をアウトソースせず自社で運用する場合は、アウトソースする場合と比べて格安で運用することができます。(そのかわり未払いリスクがあります。)
通販の老舗と呼ばれる大企業が多く該当します。
またECではなくて、購入経路が電話注文のように購入前に顧客と接点を持てる場合もリスクコントロールがしやすい為
アウトソースする必要がありません。顧客に対して手間暇かけて丁寧に販売している企業が多いです。
ですが、潮流としては、自社運用からアウトソースになっています。債権回収チームの負担軽減が理由です。

②後払い決済をアウトソースしている。

後払い決済をアウトソースして且つ無料で提供するのは、導入企業にとって相当なコスト負担です。
ここは下記1パターンが主でそれ以外がパターン2とみて頂いたほうがよいです。

1パターン目:初回購入のハードルをとにかく下げたい
ビジネスモデルがLTVの概念で作られている且つ定期縛りや解約時に高額な解約手数料を支払う必要がある企業が該当します。
LTVで考えた場合利益率が高いので、とにかく初回購入までのハードルを下げる必要があり、決済手数料など取っている場合ではありません。

2パターン目:競合店との差別化を行っている
1パターン目以外では、はっきり言ってほとんど見かけないですが、稀に存在します。上記表ではユニクロオンラインやニッセンオンラインが該当します。
弊社750社の顧客の中でもかなり少ないです。無料提供に踏み切った店舗のほとんどは、競合店との差別化や顧客負担を限りなく少なくしたい社内風土という理由で決断されています。

■有料の店舗はなぜ有料にしているのか?

理由は簡単で、アウトソースしているからです。
保証型後払い決済へアウトソースする場合後払い決済手数料は、各社の請求書発行費用程度に設定するのが一般的です。
NP後払い  190円
後払いドットコム 169円
スコア後払い   153円or185円
GMO後払い   150円or180円
ATODENE    160円or190円
クロネコ代金後払い  160円or190円
※税抜

■有料の店舗の中で300円OVERの高額店舗はなぜその金額設定にしているのか?

ではなぜ、300円以上に設定している店舗があるのでしょうか?(なぜ高額に設定する必要があるのか?)
理由は下記です。

(ⅰ)後払い決済の条件がクレジットカード決済と比べて高い。
一般的には、クレジットカード決済の料率は、2%後半から3%後半。
後払い決済は、2%後半から4%後半で通常の料金体系では後払い決済の方が高いです。後払い決済手数料を請求書発行費用に上乗せすることにより
クレジットカード決済並みの手数料になるようにコントロールしている場合が該当します。


【具体的コントール計算例】
■客単価:5,500円…①(商品代金+送料+下記④)
後払い決済の条件:3.4%(②)+請求書発行費用165円(③)
後払い決済手数料:200円(④)

料率分の負担額:①5,500円×②3.4%=187円…(⑤)
後払い決済で掛かる経費合計:⑤187円+③165円=352円…(⑦)
⑦352円-④200円=152円…(⑧)←店舗の実質負担額
⑧を料率換算すると…⑧152円÷①5,500円×100(%表示の為)=2.76%
後払い決済手数料を③165円から④200円に35円引き上げると決済手数料は②3.4%-2.76%=0.64%分削減可能


(ⅱ)返品・交換を無料で実施している。
アパレルでよく見かける現象です。後払い決済を導入すると気軽に購入できる分、返品交換率が上昇します。行って来いの送料負担をどうしても補填する必要があり後払い決済手数料を高く設定せざるを得ない場合が該当します。

(ⅲ)後払い決済で審査NGだった場合、代引きに移行する為、手数料を合わせている。
後払い決済で審査NGだった購入者への対応方法として、代引きで強制出荷している場合は、合計金額がズレると問題ですので合わせている、つまり代引きの手数料が300円(税抜)で合わせている場合が該当します。
余談ですが、かなりの確率で受け取り拒否で返ってきますので、この運用はおすすめできないです。

(ⅳ)決済で利益を得たい。

(ⅴ)導入したものの使われてほしくない。(ただし後払いできる安心感は提供したい。)

ⅳ、ⅴはほとんどいないですが、上記理由により高額に設定していると考えられます。

手数料額と利用率の目安

次に手数料額と利用率の関係値を見ていきましょう。
この関係値は、顧客層・単価・会社の知名度に影響を受けますが、一般的な決済を搭載しているECサイト(クレジットカード決済・後払い・代引き・コンビニ前払い)であれば後払い決済の利用率はおおそよ下記となります。※弊社顧客調べ

※Y軸:利用率(%) X軸:後払い決済手数料

おおよその目安になりますが200円に設定すると利用率は約15%となります。300円以上に設定すると一気に利用されなくなります。
ただし、有名店舗になればなるほど、クレジットカード決済の利用が高まりますので、知名度によって利用率はこの表より増減します。
楽天市場は後払い決済手数料が250円ですが、この表通りの7~8%の利用はないはずです。
弊社の顧客に伺ったところ、3~5%がほとんどでした。恐らく平均値もそれくらいだと考えます。
逆に例外がZOZOTOWNのツケ払いです。ツケ払いは、決済手数料300円(税抜き)ですが、もう少し利用率が高いと思います。支払いが2ヶ月後でよい利便性の良さと上手なプロモーションを活かし7~10%近く利用されているのではないでしょうか?

おススメの決定方法

購入者の負担や競合を鑑みた場合、決済手数料は低いに越したことがありません。ですが、無料には踏み切れない理由もわかります。
そこで弊社は、利益的に無料に踏み切れない場合は、自社後払いを導入するにせよアウトソースするにせよ、後払い決済各社の請求書発行費用と同額か200円(税抜)に設定することをおススメしています。

購入者が利用しやすく且つ経営を圧迫しないドンピシャの手数料設定を行う為のご参考になったでしょうか?

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