NP後払いの大規模アップデートのスゴい所、後払い決済相談室が説明します。
2019年11月27日(水)NP後払いが
「即時与信実装や不正検知手法の大幅刷新を含む大規模なシステム・サービスアップデート開始」を発表しました。
後払い決済相談室もこの発表会に参加してきました。
概要については、各メディアからプレスリリースが出ているので割愛します。
参考
CNET Japan
PRTIMES
後払い決済相談室として、今回の発表の「本当の意味」と「業界に与えるインパクト」を専門家目線で解説します。後払い決済の導入や切替を考えている担当者の方は是非ご参考ください。
※今回、アップデートされたシステムの即時与信においては、加盟店側またはカート会社のシステム改修が必要です。2019年11月時点でNP後払いご利用の店舗がいきなり即時与信になる訳ではございません。
↑会見の様子
結論:後払い決済のスタンダートを塗り替える”すごいこと”が起こるかも・・・
まず、今回の発表で「新しく実現すること」は下記です。
ではなにが、「すごいこと」なのかを解説してきます。
NP後払い、ついに即時与信実装
即時与信(業界では「リアルタイム与信」と呼ばれています。)についてですが、主要な後払い決済事業者で、既に実装されてる機能です。
リアルタイム与信の概念と仕組みを最初に導入したのはスコア後払い(当時はニッセン後払い)で2012年です。
現在のシステムは当時よりはるかに進化しているとはいえ、概念と仕組みは約7年前からあります。
従いまして、機能的な目新しさはありません。
ですが、今回の発表で最大の衝撃は、間違いなくこの「即時与信実装」です。その理由を説明します。
※画像をclickすると大きくなります。
図の通り「不正利用」「未収取引」「利用上限超過」以外で与信NGを出さず、「即時与信を100%行う」と明言しています。
クレジットカードは「カード発行前に与信審査」→「カード発行&利用」という手順を経て100%即時与信を提供しています。
後払い決済では事前情報なく突然入る注文に対して、クレジットカード並みの利用条件で、かつ債権保証をしながら100%の即時与信を行うのは不可能だと思われてきました。
事実として、2019年11月現在で、この条件(「不正利用」「未収取引」「利用上限超過」以外でNG判定しない)でのリアルタイム与信提供は、どの後払い決済会社も実現できていません。
少なからずグレーな注文を「目視審査行」または「与信NG」としています。
従来の後払い決済業界のリアルタイム与信は、決済会社の与信ロジックの傾向と対策の中で「支払い能力がない」「支払う気がない」「不正の傾向がある」と判定された注文は、「すぐに審査できないからちょっと待って、待てないなら審査NGとさせて」とせざるを得ない仕様だったのです。
参照:リアルタイム与信とは
NP後払いの今回のこの発表は、この不可能を可能にしたということです。
この項目まとめ
「不正利用」「未収取引」「利用上限超過」以外で与信NGを出さず、「即時与信を100%行う」ことが可能になる。
- 消費者のメリット:身に覚えのない審査NGがなく、決済でストレスを感じない
- 加盟店のメリット:消費者メリットが最大(売上毀損がない)のまま、運用(出荷・後日の代替決済案内不要)がスムーズに行える
請求方法・支払い場所の個別最適化について
この項目は、まだ詳細は未確定で、これからブラッシュアップしていくとのことですが、他後払い決済会社ではどこも持っていない機能です。導入店舗毎のカスタマイズであれば他後払い決済会社でも実施できていますが、注文取引毎でのカスタイマイズは初の試みです。
実現化すれば、快適なショッピングライフに大きく貢献する機能でしょう。
与信通過率向上
今までに必要としていた情報以外にも「商品明細」「購入頻度」などを与信判定ロジックに組み込むことで、従来の与信スキームではNGとなっていた注文も、OK判定を提供できる確率が増加することができるとのこと。
ただ、最も注目すべきは「金額可変(請求金額の変更に再与信なく対応可能)」と考えています。
※この項目については請求金額が増加しても対応可なのかなど詳細不明ですので、追ってご報告致します。
システム無停止化
・2019年度 99.91%である実績を99.99%まで持っていく
・マイクロサービス化により、一部機能の停止が全体へ影響しないようになる
総括
会見でNP社鈴木CTOが、今回のバージョンアップについて設計思想として下記発言をしていました。
- 18年間後払いをやってきて、膨大なデータが集まっている。NP後払いは企業文化としてグレーな人も審査OKとしてきた。
- (いままで審査OKとしてきたことにより)お支払いをして頂ける人か否か完全にわかっているデータが揃っている。
- このデータは恐らく世界でも我々しかもっていない。
- ハードウェアのスペックの進化やAWSをはじめとした最新技術のクラウドサービスの簡単に使えるというところもベースにある。
- 分析含め1~2年前にはやりたいことができるようになったきていたが、このタイミングでのリリースは組織の成熟が背景にある。
- 仕組みや考え方が組織に根付いた来た。今回の仕組みもボトムアップで上がってきており、自信を持って提供できている。
また会見前に、運よく柴田CEOとお話しすることができて、今回の発表に関する想いを聞くことができました。
「今の今まで即時与信提供にストップを掛けていたのは私(柴田CEO)なんですよ。」
「与信精度に曖昧さを残したまま、即時与信を提供したくなかったんです。」
「〇〇〇さま(NP後払い加盟店)は、1件でも原因不明な与信NGを出したら、呼び出しされます(笑)」
とても嬉しそうに
「組織風土が成熟してきて、事業リーダーがどんどん育ってきています。
全員自分が事業リーダーだって思ってるかもしれません。
ビジネスモデルは簡単に模倣できますよね。オペレーションは難しい、でも、企業風土は絶対に真似できません。
当社は、プラットフォーム事業を作れるリーダーがたくさん誕生する企業風土を持った会社だと思っています。」
と仰っていました。
後払い決済相談室がしてきたいこと
NP後払いが発表した新システムは、何段階かのフェーズによって仕様が解放されたり、追加されていく仕組みです。
彼らがフェーズに合わせどんな仕様を作ってきているのかを専門的な目線で皆様に情報提供していきたいと考えています。